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2005.12.28

今年のベスト5(漫画編)

書籍について書いたら漫画もですよね。今年も漫画はやめられません。

<1>『百鬼夜行抄』( 今市子 著 朝日ソノラマ )
今市子さんの絵は前から好きでこの作品の存在も知っていたのですが、既刊12巻という長さにうっかりハマってはいけないと手を出さない様していたんですが、ついうっかり読んでしまったら、やっぱり惹かれてしまいました。
妖怪変化や霊を見ることが出来、式神をも操る能力を持った祖父の血を引く律くんは、全く関わりたくないと思ってもそういうモノを見てしまい、祖父の能力により本当は亡くなっているのに龍の化身を宿して肉体を維持している父親と、祖父の娘である母、祖母と暮らしています。同じく祖父の血をひく従姉弟の司ちゃん達とともに、普通の人には見えない百鬼夜行の世界と触れ合っていくお話です。妖怪変化も人の霊も、決して恐ろしいばかりではなくて、心温まるお話になっています。

<2>『雨柳堂夢咄』( 波津彬子 著 朝日ソノラマ )
上記『百鬼夜行抄』と同じく「ネムキ」(眠れぬ夜の奇妙な話)という雑誌に連載されている作品です。波津さんも以前から気になる漫画家さんで、泉鏡花の戯曲を漫画化した『鏡花夢幻』に心惹かれた事があるんですが、『百鬼夜行抄』を読んだらこちらも読みたくなってしまいました。
祖父が営む雨柳堂という骨董屋の手伝いをしている蓮くんは、物に宿る精が見える人で、特に雨柳堂で扱うような長い歳月使われて来た品物には色々なモノが憑いています。『百鬼夜行抄』とは違って店主である祖父にはその能力がないので、その手のモノに関わる仕事は蓮くんの仕事。生き物の霊だけなく、人に使われる道具類にもそれぞれに意志や想いがあるという物語は、なかなか心に響いて来ます。舞台が明治大正くらいの戦前の日本になっているのも独特の情緒があって良いんです。 

<3>『夕凪の街 桜の国』( こうの史代 著 双葉社 )
5月20日にも書いてますが、「夕凪の街」は原爆投下から10年経った広島を舞台に、「桜の国」は更に年月を経た続編になっています。
広島に原爆が投下された時辛うじて助かった人々のその後を、10年後、20年後、更にその子ども達の時代まで追いながら、原爆がその人々の体と心に残した深い傷について、独特の懐かしさを感じさせる絵と語り口で伝えています。原爆症への不安を抱えながら、発病の可能性がある人への差別や偏見とも向き合わなければならない苦しみを、日本が戦後の復興に向かって行く中で、10年も経って突然原爆症で命を落とした女性や、更に歳月を経て発病した女性とその子ども達を通して描いています。

<4>『大奥』( よしながふみ 著 白泉社 )
2004年8月号からメロディに連載されている作品です。時期的に見て、フジVTで放送された時代劇『大奥』に触発される部分があったのかなぁ、とも思われます。しかし、この作品の凄い所は、過去にも何度かドラマ化されたその江戸城大奥女の園物語を、男女逆転パロディーとして描いた事です。
若い男性の死亡率が高い奇病が流行し、男性の人口が減ってしまった、というのがこの物語の世の中。家を継ぐのは武家から町人まで娘と決まっており、裕福な家では相応の家から婿を迎え、結婚できない貧乏な娘達は、子どもを授かる為に男を買っていた、というのが時代背景となっています。時代は、フジVT『大奥』シリーズではまだ扱っていない八代将軍吉宗の世。早世した七代将軍のを後を継いで紀伊徳川家からやって来た新将軍は、質素を旨とし武芸にも秀でた豪胆な性格ですが、もちろん女性。いきなりクビになる側用人の間部も、大岡越前もみんな女性。そのかわり将軍以外は女人禁制の「大奥」には、3千人の男性が上様と呼ばれるたった一人の女性に仕えているという、驚くべき世界。そんな「大奥」が何故生れたのか、その謎にせまる記録が見つかった所で終わっているので、次巻も楽しみになっています。

<5>『イヴの眠り』( 吉田秋生 著 小学館フラワーコミックス )
コミックバトンにも書いたこの作品、今月発売になった5巻で終に完結しました。
『イヴの眠り』は、遺伝子操作により並み外れた能力を持ってしまった双子の青年、有末静と雨宮凛が主人公だった『YASHA』の続編です。こちらの主人公はその並み外れた能力を受け継いだ静の娘アリサで、静のクローンである死鬼(スーグィ)と呼ばれる冷徹な青年と戦う事になります。最終巻では静が死力を尽くして死鬼を追い詰め、アリサを救います。常人と違う能力を持つ人間として只一人残されるアリサに、新しい人類のイヴとなる可能性を説いて別れて逝く静。これでやっと静と凛の物語にもほんとにピリオドが打たれて、ふたりの魂は仲良く一緒になれたのかもしれない、と思えたのが良かったです。

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