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2005.12.25

今年のベスト5(書籍編)

2005年もあと少しで終わろうとしています。という事で、今年印象に残った本について書いてみましたが、今現在印象に残っているというと言うと、やっぱり年の後半に読んだものが多くなりがちですね。

<1>『西太后―大清帝国最後の光芒』( 加藤徹 著 中公新書 )
次期皇帝に宣統帝溥儀(ラストエンペラー)を指名して亡くなった、先々帝の母である皇太后にして、2代の皇帝の治世に後見として実権を握り、中国史上稀代の悪女とも言われた女性「西太后」。映画にも描かれたその猛女ぶりは有名ですが、それはあくまで俗説をもとにしたものであるとし、資料を再検証しながら女性的な権力を欲した「西太后」の実像に迫ろうとする内容です。丁度今読んでるんですが、これが面白いんです。下級の宮女から皇太后にまで登りつめたのでもなく、皇太后になったその時から残虐に抵抗勢力を排除にかかった訳でもなくと、ドラマチックな部分が削ぎ落とされて行くのに、評伝歴史検証ものとしての説得力があって楽しく読めます。私的に今年一番のヒット作です。

<2>『フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる』( 築山節 著 NHK生活人新書 )
ボケ、まではいかないが、若年性アルツハイマーの予備軍とも言える症例を挙げながら、現代人の脳の健康に警鐘を鳴らす1冊です。文明の利器に頼る生活の中で、我々は知らず知らずのうちに偏った脳の使い方をしているらしいです。すぐにネット検索に頼らず自分の脳を使って思い出す努力する事、メールや掲示板のコミュニケーションばかりに走らず面と向かって人と話す事を億劫がらない事など、色々思い当たる節があって反省しました。近頃の切実な問題として興味深い内容でした。

<3>『私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 』( 有田芳生 著 文藝春秋社 )
テレサ・テンさんが亡くなった時、有田芳生さんが彼女について書くためにインタビューをしていたと話していたので、いつ本になるのかとずっと気になっていたいました。10年経ってやっと手にする事が出来、付録のCDで彼女の声を聞く事も出来、あらためて生前の彼女を偲びました。

<4>『千々にくだけて』( リービ英雄 著 講談社 )
「9.11」の記事にも書きましたが、ちょうど日本からアメリカに帰国するフライト中にあの同時多発テロが起こってしまった、という著者の体験をもとにした小説です。アメリカへ入国する事も日本に戻る事も出来ず、カナダの空港で足止めをされる日々のなかで、故国が遭遇した未曾有の惨事を通して、自身の存在や帰属の曖昧さを省みる主人公。国際的な大事件を個人の内面から捉えようとしている所や、翻訳ではなくアメリカ人の著者が日本語で書いた作品としても印象に残りました。

<5>『生きて死ぬ智慧』( 柳沢桂子 著 堀文子 絵 小学館 )
「色即是空、空即是色」で有名な「般若心経」を、生命科学者の視点から現代語訳した作品。宇宙を構成する物質の粒子についても触れながら仏教哲学を科学的で詩的に訳した文章と、自然や生物の命の厳粛さを描いた絵によって、「般若心経」の説く教えを人生の指針として伝えようとしています。語句の意味の解説やリービ英雄さんの英訳も付いていて、長く手元に置いて折に触れ「般若心経」を読み直してみよう、と思える一冊です。

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コメント

>「フリーズする脳」
面白そうですね。今度、本屋に行ったらぜひ、買ってみます^^

年末の雑事から逃避するように、何冊も後で読もうと買っては、読んでいない本がどっさりあるんですが...^^;
この本は、最優先で読みたいですね^^

投稿: riro | 2005.12.26 15:04

riroさんも読んでない本が何冊もおありなんですね。私もです・・・。ついつい衝動的に買ってしまう本の中で、ちゃんと読んだ本より積読本の方が多いかもしれません。
そんな中、「フリーズする脳」は買って帰るバスで読み始めて、どんどん読めちゃいました。
それだけ自分の脳に不安に覚える今日この頃です(笑) って笑い事じゃないんですよ、ホント。仕事で電話していて言葉に詰まったり、数字や入力コードを覚えられなくなったり(^^:)

投稿: ヒトコ | 2005.12.26 21:26

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