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2007.08.09

夕凪の街 桜の国

とっても久しぶりに更新ですが、映画『夕凪の街 桜の国』(『半落ち』の佐々部清監督作品)を観てきました。残念ながら地元では上映してないので、昨日レディースデイにお休みが取れたので新宿まで行って来ました。

原作はこうの史代さんの漫画(2004年10月双葉社発行)です。2年前に読んで衝撃を受けずっと心に残っていた作品なので、今年になって映画化されると知り、期待と不安で公開を待っていましたが、なかなか良い映画でした。

夕凪の街は広島です。桜の国の桜は今を生きる七波が住む東京の桜ですが、桜の国はやはり日本を指しているのでしょうね。物語は被爆から13年経って復興しつつある広島から始まり、ひとつの家族のその後を追いながら現代の東京に行き着きます。

主演は現代を生きる七波役の田中麗奈さん。七波の伯母で被爆から13年(原作では10年)を生延びた皆実役を麻生久美子さん、皆実の母で被爆しながらも孫の七波が小学生になるまで生きたフジミを藤村志保さんが演じました。七波の父で皆実の弟にあたる旭の役は、青年時代が伊崎充則さんで、田中麗奈さんと共演する熟年世代は堺正章さんでした。

原作を先に読んでいて、その上思い入れがあると、映像化された時に大概はイメージの違いを感じるのですが、この映画は原作の雰囲気をよく伝えていると思いました。下の妹が被爆直後に皆実に背負われて亡くなったり、被爆から2ヶ月後に亡くなった妹の話がカットされていたり、両親の若い頃の物語を七波が追体験する演出にしたりと、原作と違う所も幾つかありましたが、全体的にはほぼ原作に忠実な物語でした。

原作より儚げな印象がありましたが、麻生久美子さんの皆実がとても良かったです。伊崎さんの旭と堺さんがちょっと結び付き難かったですが、老境に入る世代になって、若くして死んだ姉の生を振り返る物静かな旭の様子が印象に残りました。広島での被爆13年後と東京での45年後、中年から老年までを演じた藤村志保さんの母として家族を思い続ける姿がまた、この映画を悲劇的なだけで終わらない情感豊かなものにしていました。

今日は長崎の日ですが、原爆投下直後の悲劇だけではなく、今なお続く被爆者とその家族の苦しみや深い鎮魂の思いを伝えるこの映画は、日本でなければ生まれなかっただろう原作をもとにしています。映画になった事で、原作の思いがより多くの人に、できれば世界中の人々にも、伝わるといいなぁと思いました。

映画公式サイトはこちらです。

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