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2009.04.29

映画「MILK」と「アンティーク」

近頃は、たまに更新したかと思えば映画の話題ばかりですが、今月18日公開の映画を都心まで出かけて観ました。公開翌日の19日は新宿バルト9で、ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を受賞した「MILK」、27日はシネカノン有楽町1丁目で、漫画家よしながふみさん原作の韓国映画「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」、という2本でした。

「MILK」はアカデミー賞の話題で初めて知った作品でしたが、同性愛者である事を公表して初めて選挙に当選し公職に付いたハーヴィー・ミルクの物語で、とっても良かったです。上映開始30分前に行ったら、最前列中央と2列目端しか席が残って無いほどの人気ぶりでした。久しぶりの洋画だったうえに、映画で最前列って初めてだったので、ちょっと疲れました…。

それはさておき、この作品は、アカデミー最優秀脚本賞も受賞してたんですね。映画を観てからランディ・シルツが書いた「MILK ― ゲイの市長と呼ばれた男」を読んでいるんですが、映画ではミルクが政治活動に向かう事になった人生を、上手くまとめて描いているなぁ、とあらためて感心した。今度また感想も書きたいですが、私は「伊藤悟さんのブログ」を読ませていただいて、是非観たい映画だと思い、でかけました。

そして「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」、よしながふみさんの漫画が好きで、この作品は、原作も日本のドラマもアニメも観ているので、韓国版がどんな映画か楽しみしてました。ところが公開されたと思ったら、主演俳優さんが麻薬使用で書類送検されるという事態になり驚きましたが、現在上映中の劇場は当初予定の期日まで上映されるようです。映画という時間の制約の中で、描ききれていない部分も多々ありましたが、日本でドラマ化された作品より原作に忠実な展開になっていました。原作ファンの方もそんなに違和感なく楽しめると思います。

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2009.04.16

「レッドクリフII」

先週末、またまたレイトショーにて「レッドクリフII」を観てきました。公開直後の割には思ったより混んでなかったので、「あれ?」と思ったんですが、今回はダンナの希望で吹替えにしたので、そのせいだったかもしれません。

「I」の時は字幕だったので、ちょっと雰囲気が違いました。中村師童さんはご本人だったようですが、金城武さんは別の方の声でしたし…。でもそんなに違和感なかったかな。周瑜はご本人の声より若々しく感じましたが、美人妻小喬さんは吹替えの方が大人っぽい声でした。

内容の方は、いよいよクライマックスの赤壁戦ということで、今回は眠くなる暇もないような「Ⅰ」より更にスピード感のある展開でした。「三国志演義」では活躍の場がない女性陣も、孫権の妹は曹操軍兵士に紛れ込み、小喬は堂々と曹操に対面を願い出る、といった具合に、孔明さんなんかよりよっぽど戦いに参加しているのも見どころでした。

「演義」にもある周瑜の剣舞は、ジョン・ウー監督らしい今時の映像で見られましたが、孔明さんの七星壇は無かった…。「苦肉の計」も黄蓋が提案するものの周瑜は実行に移さず…。また、赤壁戦の結末はまあ決まってますが、曹操を打ち果たさなかった場面も、「演義」と違って関羽とは全然関係ないことになってました。

というように、「演義」の有名エピソードは、合理的な理由で登場させず、一方でオリジナルな展開を入れていて、単なる「演義」の映画化でないところは面白かったです。

何より、美周郎と持ち上げられながら、「演義」では孔明さんの引立て役でしかないような周瑜を主人公にし、人格的にも中々格好よく描いているのが良いですね。
映画観てから初めて「演義」にふれる方がいたら、さぞガッカリする事だろうと危惧しちゃうくらいです。

ただ、孫子の兵法の話で「風林火山」が出てきたのには、どうも日本の甲斐武田軍団を思い出してしまって変な感じでしたが、中国でも孫子といえば「風林火山」なのでしょうか? その他細かい突っ込みどころもありますが、それはそれで楽しめます。

三国志といえば、今月から深夜アニメで「蒼天航路」の放送が始まっています。
こちらも「演義」ではもっぱら敵役の曹操が主人公で、少年時代から描かれているので楽しみです。

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2009.04.04

映画「梅蘭芳」

新宿ピカデリーで「花の生涯―梅蘭芳」を観てきました。昨年NHKでTVドラマ版も放送された「北京ヴァイオリン」(2002年)や、真田広之さん出演で話題になった「PROMISE 無極」(2005年)のチェン・カイコー監督の作品です。

1993年公開「さらば、わが愛 覇王別姫」では、清朝末期から文化大革命に至る半世紀に及ぶ中国史を背景に、時代に翻弄された京劇俳優たちの愛憎を描いて、カンヌ映画祭パルムドールを受賞しています。2年位前にレンタルで観て、とても印象的な作品だったので、同じ監督が再び京劇の、それも今度は実在の名優「梅蘭芳」を映画化すると聞いて、公開を楽しみにしていました。新宿ピカデリーは全国に先がけての先行上映なので、特別鑑賞券等も利用不可の2000円均一だったのですが、観て来ちゃいました。

今回映画化された「梅蘭芳」は、「さらば、わが愛」の主人公と同時代を生きた、実在の人気京劇俳優でした。「さらば、わが愛」では、架空の人物を主人公とすることで、時代や社会の抑圧による悲劇性を登場人物に上手くからめて物語り、芸術性を重視する映像表現を多用して心象風景を象徴的に描くことに成功していましたが、その分、具体的な状況が読み取り難い場面もありました。

しかし今回の「梅蘭芳」では、実在の有名人を描く人物伝的な部分も重視された様で、物語の流れが解りやすく、登場人物の心情もドラマとして楽しめる作品になっていました。どちらが映画として良かったかは、好みが分かれるところだと思います。

ただ、「さらば、わが愛」に描かれた様な、子ども時代の修行の厳しさや、贔屓筋のパトロンとの関係などは今作にはなく、その分親子3代京劇役者であった梅家の出来事を綴ることで、清朝の時代からの京劇俳優たちの立場の辛さを伝えている、という様に、双方の作品を合わせ観ることによって、より当時の状況が理解出来る部分もあります。「さらば、わが愛」にあった文化大革命での苦しい日々と、それ以前に亡くなっていた「梅蘭芳」の幸運(?)、日本軍侵攻時代の抵抗の描かれ方の違い、などもそうだと思います。

梅蘭芳を歌手で俳優のレオン・ライが、彼と不倫の恋に落ちる京劇女優孟小冬をチャン・ツィーが演じています。梅蘭芳は女形俳優ですが、孟小冬は男役を演じる女優で、チャン・ツィーなかなか格好良かったです。「夫と別れてくれ」と迫る梅蘭芳の妻とのやり取りも心に残るシーンでした。

青年時代の梅蘭芳を演じたユィ・シャオチュン、女形もとっても美しく、舞台の外での潔癖な青年ぶりも素敵でした。日本からも、田中隆一少佐役の安藤政信さん、吉野中将役の六平直政さんが出演されています。

梅蘭芳は、戦前の中国で大変人気のあった京劇俳優で、映画にもあったアメリカ公演をはじめ、世界にも京劇の魅力を知らしめた名優でした。そして、古典芸能としての京劇の伝統を守るだけなく、その改革に力を注いだ人でもありました。前の映画を観たとき、てっきり古典だと思っていた「覇王別姫」も、元々あった項羽と虞美人の四面楚歌のエピソードを題材にした京劇ではなく、梅蘭芳の為に新たに書かれた脚本だったそうです。

映画の後、新宿の書店を回ったんですが、昨年西口に出来たブックファーストで「梅蘭芳―世界を虜にした男」(ビジネス社2009年3月刊)を見つけました。ハードカバーで1600円だったんですが、著者が「西太后」の加藤徹さんだったので、思わず買ってしまいました。映画とはまた違う、実在の梅蘭芳をより詳しく知る事が出来て、興味深い一冊です。

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