2009.02.08

年を跨いで三国志にハマる日々

気がつけば節分も過ぎておりましたが、今年の初書込みです。
思い起こせば、訳も分からずココログを始めて、この夏で5年になります。
年月だけは流れましたが、何の進歩もありません…。
「今年こそは、もう少し更新するぞ」と小さな声で唱えておこうかしら。

正月休みには、初めて一家3人で生オーケストラの演奏を聴きました。
渋谷オーチャードホールでの東京フィルのニューイヤー・コンサートです。
指揮は小林研一郎さん、朝岡聡さんのナビ付きで、初心者にも楽しめました。
個人的には外山さん客演のラフマニノフピアノ協奏曲第2番が目当てだったのですが、
宮本笑里ヴァイオリンも良かったし、「モルダウ」「ボレロ」にも感動しました。

ところで、最近ちょっと三国志に、というか諸葛孔明さんにハマっております。
昨年11月にダンナと「レッド・クリフ」を観たのがキッカケなのですが、
金城武さんが凄く素敵だったから、という訳ではありません。良かったですけど。

三国志は、学生の頃吉川英治版を読んだことがあるので、見りゃ解るだろうと、
何の予習もせずに行ったら、さっぱり物語を思い出せずに唖然。周瑜さえ忘れてた。
こりゃいかんと某三国志小説(知る人ぞ知る江森備さんの著書…)を読んだところ、
すっかりハマっちゃったんです、主人公の孔明さんに(笑)
  
陳舜臣さんの正統派「諸葛孔明」、ちくま学芸文庫「正史三国志・蜀書」諸葛亮伝、
その他いくつか孔明本を読みましたし、果ては図書館で文選の「出師表」やら、
土井晩翠の詩「星落秋風五丈原」も探して読んだりしました。
中でも、小説・人物伝のジャンルを超えて一番惹きつけられたのが、
酒見賢一さんの「泣き虫弱虫諸葛孔明」でした。面白過ぎです、続きが楽しみ。

漫画では、ダンナも昔読んでた横山光輝版が正統派なのでしょうが、
最近では「蒼天航路」も人気らしいので、ちょこっとだけ読みました。
登場人物の解釈がその作画とともに独特で興味深いです。でも絵柄が苦手…。
石ノ森章太郎さんの「三国志諸葛孔明」は簡潔で入門書として良いですね。

それから少女漫画にも三国志ものがあったんですね。
諏訪緑さん「諸葛孔明 時の地平線」は、優しい絵柄で描かれる平和を願う三国志です。覇権を争うロマンではなく、為政者の志と責任を問うている視点が新鮮でした。
英雄達の初恋を描いた長池とも子さんの「三国志列伝 破龍」も、
タイトルの印象とは違い、少女漫画らしい視点でほのぼのと読ませていただきました。

そして白井理恵子さんの4コマ漫画「劉備くん」シリーズに癒されております。
最新作はYAHOO!コミックで読むことが出来ます。

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2007.02.11

ドラマ「李香蘭」

今夜と明日、2夜連続でTVドラマ「李香蘭」が放送されます。
放送するTV東京のサイトはこちらです。

15年くらい前に沢口靖子さん主演「さよなら李香蘭」というタイトルでドラマ化された事があります。今回は上戸彩さん主演です。彼女は最近、明るくて能天気な感じの女の子の役が多い気がしてたんですが、金八先生の「鶴本直」とか「あずみ」とか結構ハードな難しい役もこなしているので、どういう李香蘭を演じてくれるのか、楽しみにしています。歌もわりと上手いですよね。中国語の「夜来香」や「何日君再来」が聴けるのかしら、とそれも楽しみです。原作はここの左下でも紹介している、山口淑子さんの「李香蘭を生きて」です。

私は20年くらい前に「李香蘭 私の半生」( 山口淑子・藤原作弥 共著 新潮社文庫)を読んで、李香蘭として生きた山口さんの半生を知りました。子どもの頃から耳にしていた「山口淑子=李香蘭」の謎がよく解りました。

日中戦争最中の昭和10年代、国策として、終戦まで中国人女優「李香蘭」を演じさせられ、中国でも日本でも中国人と信じられていた山口さん。中国人なのに何故日本人に都合の良いような映画に出演するのか。中国の人々から非難を受け、彼らを騙し続ける事に耐えられず満映を去り、「李香蘭」を捨てる覚悟で上海に赴きますが、遂に望みを果たせぬまま終戦を迎えることに・・・。
女優「李香蘭」として生きた彼女の苦悩、終戦と同時に漢奸(中国人でありながら日本に協力した戦犯)容疑で拘束される日々‥‥。そして、政治情勢に翻弄され消息不明となった親友のロシア人リューバとの友情と突然の別れ。時代に翻弄されたひとりの日本人女性の半生が、私たちに問いかけてくるものは大きいです。

戦後帰国した山口さんは、山口淑子として女優やTV番組のキャスターなどで活躍した後、国会議員になりました。私生活では、アメリカ国籍の彫刻家イサム・ノグチさんとの結婚と離婚を経て外交官大鷹氏との結婚されています。現在は政界も引退されて、大鷹淑子さんとして暮らしておられます。

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2006.02.26

忘れていた、映画『動乱』

今から70年前の今日、政府に不満を持った一部青年将校らの叛乱により、総理大臣官邸他政府要人の居所が襲撃され、内大臣 斎藤実、大蔵大臣 高橋是清、教育総監 渡辺錠太郎らが殺害される事件が起きました。いわゆる2.26事件です。

総理官邸では、時の内閣総理大臣 岡田啓介は無事でしたが、秘書官が殺害され、自宅に居た侍従長 鈴木貫太郎(終戦時には総理大臣になっていた)も銃弾を受け一命は取りとめたものの重症を負いました。陸軍省、参謀本部や警視庁なども襲撃され、東京の中心部である霞ヶ関・三宅坂あたり一帯が占領される事態となりました。政府は戒厳令を施行、叛乱軍を包囲して帰順を呼びかけ、29日には鎮圧する事に成功しました。しかし、この事件を契機に軍部の力は大きくなり、日本は戦争への道をまっしぐらに進む事になりました。

私が子どもの頃には、今の時期になると必ず2.26事件関連のTV番組があったものですが、何時の頃から見かけなくなりました。そんな影響もあってか、ここ何年か私自身も2.26の日を忘れ勝ちだったのですが、今年は数日前に書店で2.26関連の書籍を紹介するポスターを目にして、思い出しました。

2.26事件といえば、吉永小百合さんと高倉健さんが初共演された映画が、この事件を背景とした物語でした。小百合さんファンの私はもちろん劇場へ観に行ったのですが、今日思い出そうとしたら題名が・・・。ネット検索してやっと判りました『動乱』です。この後にお2人が共演された映画『海峡』とごっちゃになってしまって、思い出せなかったです。いくら25程前の事とは云え、小百合さんの映画なのに・・・。映画の詳細はこちらの「goo映画」で紹介されていました。

この映画にも出てきますが、昭和11年(1936年)の2.26事件より4年前、昭和7年(1932年)に5.15事件というのがありました。やはり一部青年将校が起こした事件で、総理大臣犬養毅が射殺されています。この時、首謀者が無期懲役だった他は、青年将校たちへの処罰が禁固15年以下という比較的軽いものだった事が、2.26事件の誘因だとも言われているそうです。

2.26事件の時、実家の父は東京下町に住んでいて小学生でしたが、翌日の朝刊に、真っ黒塗られている記事があった事が印象に残っているそうです。戒厳令による報道規制があったのでしょうか。東京といっても、叛乱軍が占拠している所からは遠かったせいか、その他に強く印象に残っていることは無いようですが、テレビが無かった時代でもメディアから受ける影響って強く残るものなんですね。

ところで、『動乱』探して検索していたら、
ユナイテッド・シネマの『北の零年』製作発表のレポートで、

今から25年前の1979年のことですけども、『動乱』という映画に出演いたしました。ちょうど今頃の時期から北海道のサロベツ原野で撮影し1年がかりの作品になりました。その時に"映画作りってこういうものなんだ"と体験し1年間大変素晴らしいスタッフとキャストの方たちに囲まれいい映画作りができました。その時から"もう一度映画の世界で生きてみよう"と思うようになり25年という年月が経ちました。
という小百合さんの発言を見つけました。111本もの映画に出演されてる彼女にとっても、想い出に残る映画だったんですね。『北の零年』公開当時に私もこの話をTVで聴いたような気もします。たった1年前なの事なのに、思い出せなかったよ『動乱』、トホホ。

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2005.01.12

平家物語を読もう!

今年の大河は「義経」という事で、源平時代も注目度上昇中でしょうね。実は私、その昔(30年以上も大昔の小6~中1の頃)大河ドラマで吉川英治原作の「新平家物語」を見て、平家物語と義経のファンになりました。その少し前に民放で吉屋信子原作の「女人平家」という時代劇を放送していて、源平時代と主演の吉永小百合さんのファンになっていたので、大河を見てどっぷりハマリました(笑) 義経ファンになったのは、志垣太郎さんが演じた義経が格好良かったからなんですが、原作を読んだらドラマ以上に魅力的な青年に描かれていて、ますます好きになっていました。今思えば、中学生の頃は義経が心の恋人でした。・・・何だか暗い乙女時代のような気も(^^;)

それで、小学生の頃はほとんど本を読まなかった私が、文庫本全16巻の(私が当時読んだのは新書版で12巻になってるものでしたが)吉川英治の原作に挑戦し、楽しみながら読破しました。それから30年、その後これより長い小説は読んで無いと思います。

古典平家の方は、ジュニア版古典全集のような児童書で読んだのが最初でしたが、古典原文も角川文庫版を、同じく角川文庫にあった全訳本を片手に読みました。古典を読む知識なんて皆無だったのに、何故読んでみようと思ったのかと言うと、物語の内容に興味があったのは勿論なんですが、何より耳で聴いて美しい文章だったからなんです。大河「新平家物語」に対応してか、教育TVの市民大学講座という番組でも古典「平家物語」を扱っていたのですが、こちらは大学の先生の解説が多少難しいものの、本文は女優さんが朗読してくれるので、自分で字面を追うより楽でした。しかもプロの朗読は、文章のリズムや美しさを直接伝えてくれます。もともと琵琶を奏でながら語った物語の文章の美しい流れを、聞くのではなく、聴かせてもらったという感じでした。

歴史としての平家の物語には心惹かれても、古文なんて全く興味が無かった私に、古典「平家物語」を読んでみたいと思わせてくれたのは、耳から入って来た文章の美しさでした。文法も古語の意味もよくわからなくても、とにかく読んで(聴いて)心地よい響きがあって、自分も声に出して読んでみたくなったのが、古典「平家物語」を手にした理由でした。全文通しては1度しか読んでませんが、お気に入りの場面は何度も独りでこっそり音読してます。冒頭の「祇園精舎の事」とか「敦盛最後の事」などの有名場面や、頼朝の勘気を受けた義経が大江広元に宛て書状を送る「腰越の事」なども読み応えあります。未だに意味のわからない所や、ちゃんと読めない所もありますが、試験がある訳でもないので、闇雲に読んで楽しんでいます。

TVで平曲も聴いたたことがありますが、あれはちょっと物語を聞き取るには難しかったです。古典「平家物語」、どなたかが朗読してるCDがあったら久しぶりにじっくり聴いてみたいなぁ、と思います。

この記事は「わちさんのココログ」の古典の世界へにトッラクバックさせていただきました。

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2004.10.20

「新選組!」山本・堺トークショー

NHKの番組情報誌「ステラ」の最新号を、職場の方からお借りしました。「新選組!」で土方歳三を演じる山本耕史さんと、山南敬助を演じた堺雅人さんのトークショーの記事が載ってる、と聞いたので読みたかったんです。その情報を教えて下さったのも、堺さんファンの「ステラ」の持ち主さんなんですが、私は今回は買いそびれてしまったので、結局お借りしました。トークショーは、9月30日に福島県二本松市で行われたそうです。ちなみに表紙も山本さんと堺さんでした。

「新選組!」の中では反目し合う役柄を演じたお2人ですが、私的には逆に仲良くなっていたので、辛かったそうです。山本さんもおっしゃってましたが、振り返ってみれば、山南さんがいちばん幸せだったかもしれない、と私も思います。土方さんは、新選組創設以来ずっと損な役回りで憎まれ役を買って出て、結局隊士がたった数名になるまで見届けて、最後の最後まで戦い続ける事になります。大変な人生でしたよね。

私は「新選組!」を見るまで、山本耕史さんも堺雅人さんも殆ど知らなかったんですが、土方さんと山南さんを見て、俳優としてのお2人に注目しました。「新選組!」後、山本さんと堺さんがどんな新しい役柄を演じるのか、今後が楽しみな俳優さんです。

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2004.09.29

「新選組!」松原さんと河合さん

前回・前々回の大河ドラマのビデオをやっと観ました。「壬生義士伝」で、河合耆三郎が使途不明金の件で斬首されるのを観ましたし、「新選組物語」で、松原忠司の「壬生心中」を読んだばかりで、ふたりが非業の死を遂げる事はドラマを観る前から知っていました。

「新選組!」も今後辛い話が多くなるんよなぁ、と覚悟はしていたんですが、2話連続で哀しかったですね。でも三谷版では、松原さんも河合さんも、それぞれに人柄を尊重した描かれ方で、当人にとっての悲惨な事態が多少なりとも緩和されて伝わって来た様に思います。その分、悪者に徹しようとする土方さんと、その苦境を察して静かに支えようとする井上源さんや沖田さんの気持ちが非痛です。

「新選組物語」にある「隊士絶命記」の中にも、河合耆三郎が五十両の使途不明金を出した罪で罰せられる話が記されています。五十両不明の経緯は全く書かれていませんし、実家からの送金が間に合わなかった話は同じですが、切腹ではなく斬首だったという事です。河合は「切腹ではなく首を刎ねられるのですね」と何度も確認したそうなので、無念だったのでしょう。「壬生義士伝」でも斬首でしたが、「新選組!」では白装束を身に付けての切腹でした。商家の出ではあったけれど、罪人としては最も武士らしい最後ということになります。

「新選組!」では、松原さんも単なる心中ではなく、相手の女性に騙し討ちで刺されたのを、松原さんと隊の名誉の為に心中という事にした、という話になってました。「新選組物語」では、親切で皆に慕われる性格ではあったが短気な面もあった松原が、往来での喧嘩で浪人を切ってしまい、その後で後悔して未亡人の手助けをするようになるんです。でも、この女性に自分が夫を切ったとは告げていなかったので、彼女も松原に心を許すようになった、という話でした。隊の仕事として侍を切り、最初から自分がその張本人であると告げて未亡人を訪れた「新選組!」の松原さんは、実直で裏表のない人柄に描かれています。

松原さんと河合さん、どちらも「新選組物語」で読んだ話より救いがあるように感じました。ちょうど今、NHKの新選組!HPに、松原忠司役の甲本雅弘裕さんと河合耆三郎役の大倉孝二さんのインタビュー記事が掲載されています。思えば、三谷版の松原さんと河合さんは、入隊した時からの様々な心温まるな様なクスッと笑いたくなる様なエピソードの積み重ねが、その最後の悲惨さを緩和する効果につながっている様に思います。そしてそれとは逆に、彼らが新選組を組織として維持していく為に死なねばならなかったことに対し、彼ら自身の死を心から惜しむ気持ちと、とても理不尽な遣り切れなさを感じます。あらためて、これが三谷さんの「新選組!」なんだと思いました。

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2004.09.22

「新選組始末記」のあとがきに・・・

図書館で子母澤寛の新選組三部作を借りたのですが、「新選組始末記」だけは文庫版ではなくて、中央公論社から1967年に改訂版で出されたハードカバー本でした。あとがきによると、取材を始めたのは大正12・3年頃からで、初版は昭和3年(1928年)だったそうです。

さてその「あとがき」は、いきなり次の文で始まります。

 新選組の「選」の字はが本当かが本当かという。
 私はどっちでもいいと解釈している。
 肝心の近藤さんが時にはを用い、時にはを使っている。

えぇー、そうだったんですか! 近藤さんが局の総代として会津侯に出した書面にはを使っているものも多いのに、会津侯からの書状は大ていだったそうです。子母澤さんもを使ってるし、大河も「新組!」なので、が正しいのかと思っちゃいました。ドラマや小説の題名は作者が使っている字が正しいわけですが、一般に新選組の事を書くとき時は、どちらでもいいのでしょうか。たぶん私と同じくIMEのせいだと思いますが、図書館でもらったおたよりでも「新組」と書かれていますが、間違いじゃないんですね。

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2004.09.21

「新選組遺聞」面白いです

子母澤寛の「新選組遺聞」を図書館から借りてきました。「新選組始末記」「新選組物語」は予約中です。3冊とも中央公論から出ている文庫版で、今年も増刷されたようですので、書店でも購入できるようです。

子母澤寛が歴史小説家だというのは知ってましたが、作品を読んだのは今回が初めてのような気がします。新聞記者出身で、昭和3年頃に、新選組について当時を知る生き残りの関係者や隊士に取材をして書いた「新選組始末記」で作家デビューされたようです。「新選組遺聞」はその取材部分を取り上げた作品で、いわばメイキング「新選組始末記」というような位置付けになるのかもしれません。

「新選組遺聞」には書かれなかった元隊士の話もあるそうで、それが「新選組物語」のネタになっているのかもしれません。吉村貫一郎の話もそこに書かれているようです。

「新選組遺聞」の始めに、著者自身が「老人方のお話は、必ずしも全部の記憶に誤りがないとは云われまいけれど」と断り書きをのような事を言っている通り、維新から60年以上も経っていれば、その記憶も曖昧であったり、又聞きの話を混同していたりと、信憑性に「?」の付くものもあるだろうと思います。

それでも、当時を知る人がまだ多く生きて居られる間に、これだけの取材をした子母澤寛の記者魂というか作家魂には敬服します。彼がこの三部作を書かなかったら、その後新選組についての多くの作品は生れなかったかったかもしれません。大河「新選組!」も企画さえされなかったかも。そんな気がします。

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2004.09.11

「壬生義士伝」の吉村さんは、嘉村さん?

映画「壬生義士伝」、ドラマ版よりは辛くなかったです。ドラマで既に結末を知っているので、覚悟して観られたからだと思います。ドラマも全編観た訳ではないんですが、放送時間が長かった分詳しく描かれていて、特にじっくり観たのが鳥羽伏見敗走以降の下りだったという事もあり、余計に辛いお話だと思ったんですね。浅田次郎さんの原作も読む気になれませんでした。渡辺謙さん演じるドラマ版吉村貫一郎が、それだけ強烈な印象を与える存在だったということもあります。

ここでまた気になるのが、実在の吉村貫一郎はどんな人だったのか、という事なんです。「新選組!」を見るようになって参考にさせてもらってる幕末維新新選組さんというサイトがあるのですが、こちらに掲載されている「全隊士名簿録」に吉村貫一郎の略歴もあります。(「屯所入口」からメインコンテンツに入れますが、情報量の豊富さに感動致します。)

それによると、浅田さんの描いた吉村貫一郎は実在の人物に迫るものではなく、子母澤寛の小説に登場した吉村さんのイメージに影響を受けているようです。これを参考にさせていただくなら、子母澤寛の描いた虚構の吉村像に、更に人情味と信義を重んじる精神を併せもった人柄とエピソードを加え 悲劇の隊士吉村像をグレードアップさせたのが「壬生義士伝」なのかもしれない、という印象を持ちました。実在の吉村さんは、本名を嘉村権太郎といい、脱藩という過去があるために新撰組では偽名の吉村貫一郎を名乗っていたそうです。そしてその嘉村さんは、鳥羽伏見の戦いで戦死しているそうです。

子母澤寛は「新選組始末記」「新選組遺聞」「新選組物語」と、複数の新選組物を書いているようですが、私は読んだ事はありません。ですから「壬生義士伝」のような吉村さんが、どの作品にどのように描かれているのか、詳しくは知りません。でも、浅田さんがその吉村像に興味を持ち、同時に物足りなさを感じていたのではないか、という想像は出来ます。

「壬生義士伝」の吉村さんは、家族を思う余り、時として「武士にあるまじき」と言われる様な行動に出る訳で、昔の時代劇だったらあまり好意的には受入れらないエピソードが多々あります。少なくとも私が子どもの頃だったら、感動を与える主人公には成り得ない人物像であったろう、という印象を持ちました。

南部藩を捨て、家族を主君と思って命がけで働く事を生き甲斐にする「壬生義士伝」の吉村さん。物語の中で、ある時は蔑まれながらも、ある時にはそれを勇気と称えられたり共感されたりし、結論としてそれが吉村貫一郎の強さを支えたのだという流れになっています。今の時代だからこそ、多くの人に受入れられる物語となったのだろうと思える吉村さん。吉村貫一郎をそういう人物像に描き直した浅田さんは、今の時代の空気を良く読んで居られるんだなぁ、と思いました。

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2004.09.07

「陰明師Ⅱ」と「壬生義士伝」

「陰明師」は、平安物という事と伊藤英明さんが出演されるという事で、劇場へ観に行きました。伊藤英明さんは、TV朝日のドラマ「YASHA」に主演された時に初めて知ったんですが、原作の静と凛のシャープさが足りないと不満に思いつつ観てるうちに、原作とは違うけど、ちょっとナイーブな静と凛を演じる伊藤さんが好きになりました。そして「陰明師」の源博雅、良かったです。笑顔がチャーミング。夢枕獏さんの原作は読んでないので、博雅のイメージにあってるのかどうか分かりませんが、映画だけ観た限りでは、伊藤さんの博雅はハマり役だと思いました。静や凛よりずっと伊藤さんの魅力を感じました。

お話も面白かったので、「Ⅱ」も劇場で、と思っていたんですが、何だか行きそびれてしまって今頃やっと観ました、レンタルで。ストーリーは、前作と似たような対立構造で、過去の因縁から恨みを持って平安京を壊滅させようとする特殊能力者と陰明師安倍清明の対決。事態を解決に導いたのが、前作では男女の愛情で「Ⅱ」では姉弟愛というのが、似た様でちょっと違うところかな。伊藤英明さんの博雅は前作同様可愛かったです。

主演の野村萬斎さんも、ちょっと怪しげで人間離れした人物の雰囲気をよく出していて良かったです。安倍清明って本当にこんな感じの人だったのかも、と思わせるものがありました。そして前作同様舞のシーンは流石に美しかったです。「Ⅱ」では平安版アメノウズメに扮しているので、緋の長袴の巫女さんスタイル。長袴さばきの上手さに驚きました。当時の巫女さん、あんな激しい動きはしなったでしょうね、いくらな何でも。ただ、女装というのがちょっと狙い過ぎという気もしましたが、原作にもあるお話しなのかなぁ。

「壬生義士伝」の方は、一昨年の正月にTV東京で放送した渡辺謙さん主演のドラマ版で、あまりにも悲惨な末路を知ってしまって、映画は観る気になりませんでした。ところがわりと最近、堺雅人さんが沖田総司役で出演されてたと知って、観てみようかなという気になたんです。ゲンキンですね(^^;)

「陰明師Ⅱ」では敵役の中井貴一さんが、「壬生義士伝」では主役の新撰組隊士吉村貫一郎を演じてます。こちらの方を先に観たんですが、全く違った性格の人物なので、続けて観ると変な感じですね。それから、堺雅人さんもさる事ながら、徳川慶喜役が伊藤英明さんだったのでビックリしました。台詞もなく、大政奉還の場面のワンカットだけでしたが、嬉しかったです。長くなったので本編の感想は後日また。

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